柱の影でこそこそと何かを話している怪しい人物が2人。
「じゃあ、そういうことで」
「わかった」
「でも、どないするんや?あの脳波測定システム」
「オレの頭脳を侮るなよ」
口笛を鳴らす。・・・古風だ。
「手筈は整えておく」
「了解」
怪しい2人は姿を消した。
1人は赤いシャツの長身の男。もう1人は結構派手な前面にVの字が書かれている服を着ていた。
・・・・・・・・・・・・・
前面にVの字?で、関西弁?
考えられるのはただ1人。コンバトラーチームの浪花十三。
そして、もう1人は多分、ゲッターチームの神隼人だろう。
赤いシャツといい、あの物腰といい、間違いない。
この2人がいったい何を話していたのだろうか?
所変わって、トレーニングルーム。
「あ、いたいた!」
トレーニングルームに飛び込んできたのはジュドー・アーシタ。本来なら、こんな所には来ないのだが人探しでここまで来ている。
そして、探していた人も見つけたようだった。
「忍さん!!」
今、トレーニングルームにいるのは獣戦機隊の面々だけだ。
「おう、ジュドーじゃねーか?何のようだ」
トレーニングの途中らしき藤原忍がジュドーの前に現れる。
「あの話、大丈夫そう?」
「しーーーー!!!」
あわてて忍がジュドーの言葉をさえぎる。聞かれてはまずいことなんだろう。
『あの話』気になる・・・
「ちょっと待て、別の所で話そう」
小声でジュドーに話しかける。
ジュドーもそれに賛成したらしく、頷いた。
「お疲れー!俺これで抜けるわ」
いかにもわざとらしく、忍とジュドーはその場から立ち去った。
「さてと、ぼくも抜けよっか」
そう宣言したのは式部雅人だった。
「あんたもかい、雅人」
「うん、ちょっと約束があってね」
約束。これも気になる。
「じゃあね」
我々は雅人を追うことを決意した。
辺りをきょろきょろしながら先に進んでいく。人目を気にしているらしい。
しかし、そこには人はめったにいない。あまり使われていない居住区の一角だった。
「雅人?」
突然声をかけられる。
「ぎゃああ!!」
あまりにも突然すぎて、驚いてしまったようだ。かなり素っ頓狂な悲鳴だった。
「す、すまない」
謝っているのはショウ・ザマ。ダンバイン系のエースだ。
「何だ、ショウか」
こんな所にこの2人は何の用があるというんだろうか?
我々はさらに後を追う。
・・・・ん?この区画は・・・
この区画にいる人物はただ1人。トロワ・バートン、その人である。
「まさか、トロワからこんな話があるなんて思っても見なかったなあ・・・」
「俺も考えてなかったよ」
「でも、ショウ?お前は反対すると思ったんだよ」
「楽しそうなことがあればやってみたいと思うだろ?そういうことさ」
「待っていた。2人とも」
唐突にトロワが現れる。
「「トロワ」」
「こっちだ」
3人の影はこの区画の奥に消えて言った。
「クリスさん・・・」
ここは談話室。
滅多に来ない綾波レイがなぜか来ていた。
しかも、話しかけている人がクリスチーナ・マッケンジー。
まったくもって謎である。
「レイちゃん?」
「あの話・・・」
またしても『あの話』!!
いったい何があるのだろうか?
クリスは苦そうな表情をしている。
「無理、じゃないかな?私じゃシンクロできないと思うけど・・・」
「そう・・・」
無表情の中に寂しさが見えている。
何かができないのはとても悲しいのだろう。
「でも・・・私がエヴァで出ないんならやってもいいわよ」
クリスの機転なのだろうか?いったい何のことなのかさっぱりとわからない。
「本当?」
「本当、本当」
「・・・ありがとう」
照れ隠しか、うつむいていた。
ふらついた足取りで格納庫をさ迷う男が1人。
「おー、いたいた。」
誰かを見つけたらしい。
「ヒィック!」
・・・この男、酔っているのか?
「おーーい!!」
声をかけたその先には、色鮮やかな3色の機体が置いてあった。その機体はゲットマシン。
イーグル号の中から声が聞こえたのか、人が出てきた。
「あれ?フォッカーさんじゃないですか」
降り立ったのは流竜馬。イーグル号のパイロットで、ゲッター1のメインパイロットでもある。
「よう、リョウ。今日はあの話の返事をもらおうと思ってな。・・・ヒック!」
「酔ってますね。」
「んな事どーでもいいんだよ・・・」
ロイ・フォッカー。スカル小隊の隊長である。しかし、酒癖が悪く、厄介ごとを起こすこともしばしば。
「返事は!」
フォッカーは凄みを効かせた。竜馬は少したじろぐ。
「隼人のほうにも同じような話があったんです。これ以上、ゲッターチームが抜けるわけにはいかないので悪いんですが・・・」
「何だとーー!!!!」
明らかに悔しそうである。
そこまでしてやってみたかった事とは何なのだろうか?
フォッカーの顔に不敵な笑みが浮かぶ。
「悪いな・・・」
「はい?」
この後何が起こったのか、誰も知らない。
「いやー、ノリコさん。どう思いますか?」
「リュウセイ君、これはナイスな事ですよ〜〜」
タカヤノリコとリュウセイダテの奇妙な会話である。
双方の共通点は、極度のアニメヲタクであるという事。
「後は・・・」
「出撃命令を待つだけですね〜〜」
2人の微笑みは、怖かった。
明らかに何かを楽しんでいるような表情だったのだ。
そして、唐突にサイレンが鳴る。
『敵機接近!総員、第1種戦闘配備!!』
ブライトの声が船内に響き渡る。
「来ましたね〜〜」
「じゃあ、俺らも行きましょうか?」
リュウセイはR−1のパイロット、ノリコはガンバスターのメインパイロットなので当然といえば当然なのだが。
「そうですね。今回は正規パイロットががんばらないと」
この2人、今何が起こっているのか理解しているようだった。
「それじゃあ」
「がんばりましょうね〜〜」
2人は格納庫へ走っていった。
戦闘中、大混乱が起きていた。
「せんぱ〜〜い!!!」
真ゲッターロボの中から弁慶の悲惨な叫び声が聞こえてくる。
「がははは・・・ヒック」
真イーグル号にはフォッカー。そして、真ジャガー号には・・・
「これはベンケイはんでなかってもキツイかも」
十三が乗っていたのであった。
「つーことは・・・悪いな、豹馬」
そのころ、コンバトラーVでは・・・
「何で乗ってるんですか!!隼人さん!!」
豹馬、というより、小介の叫び声が響いていた。
「まあ、気にするな。」
「気になりますよ!!!脳波測定システムは!!」
ニヒルな笑顔を浮かべながらこう言い放った。
「俺の頭脳をなめるなよ」
この台詞には小介も頭を下げるしかなかった。
確か、この男IQが180以上あったように記憶している。この芸当もその許容内なのであろう。
「それじゃあ、ほかの機体でも同じような事が起こってるんじゃあ・・・?」
ちずるの心配は的中していた。
所変わって、ダンクーガ内。
「ジュドー!!」
声の変化にまず気づいたのは沙羅だった。
「あはは、沙羅さん。・・・ごめんなさい」
割と正直に謝ってしまうジュドーだった。
「それに、ショウか!?」
亮も別の変化に気づく。場所はランドライガー。
「案外すぐにばれるもんだな」
ふう、と一息ついた。
「ジュドー君もこれっきりだよね」
「そうするよ!」
「と、いうことは・・・」
いやな予感が沙羅の頭をよぎる。
「忍がZZ、雅人がビルバインに乗ってる?」
「いや、ビルバインに乗っているのは・・・」
「ヘビーアームズと同じ、という訳にはいかないな」
トロワが乗っていた。
「オーラバトラーという物は操縦が難しい」
「それはこっちも同じだよ!」
突然、ビルバインに通信が入る。発信元は、ガンダムヘビーアームズ。
「よくこんなの乗れるね、トロワ」
そう、ガンダムヘビーアームズに乗っていたのが雅人だった。
「ということは、ランドライガーも操縦が難しそうだ」
「そもそも、開発コンセプトが違うような気が・・・」
雅人のつぶやきは的中している。
開発コンセプトが違えば、操縦性能が違う。3機ともまったく違うので当然だ。
「もう、僕帰りたくなってきたな・・・」
何かを感じて格納庫にやってきていたクリスは見てはいけないものを見てしまう。
「え!竜馬くん?!」
柱の隅に隠れるようにガムテープでぐるぐる巻きにされている竜馬が放置されていた。
「ふんが、ほが、ほが!(助けてください!)」
やったのは酔ったままのフォッカーだった。
ガムテープと格闘すること15分。ようやく、竜馬の救出が完了した。
「どうしたの、竜馬くん。こんなところで・・・」
「フォッカーさんです・・・」
酔った男には近付かない。そう心に決めた竜馬だった。
「?でも、クリスさん、何でこんなところにいるんです?アレックスは出撃してるはず」
クリスは苦笑いを浮かべる。
「今、アレックスに乗ってるのは・・・」
「くしゅん!」
誰かうわさをしているのだろうか?レイはそう思った。
アレックスのコクピットの中で。
「エヴァと違う・・・」
当然である。
「おーい!クリスさーん!!」
ZZからの通信だった。しかし、乗っているのはジュドーではない。
「藤原さん?」
「その感じ・・・綾波か!」
変な組み合わせである。
当のZZは妙にふらつきながらアレックスに近付いていた。
やはり、ガンダム系の操縦は難しいのだろう。
「ジュドーのやつ、よくこんなの操縦してるなあ・・・」
感心するばかりである。
「・・・くる!!」
敵機がすぐそばまで接近していた。
「攻撃するより、逃げたほうがいいな・・・」
「はい」
なれない機体で攻撃すほど馬鹿な2人ではない。だが、回避も難しい。アレックスの装甲でその攻撃に耐えれるかどうか・・・
「ジャイアント・リボルバー!!!」
リュウセイの声がどこからか聞こえてきた。後からR−1の姿が見える。
R−1の射程距離ぎりぎりだったに違いない。しかし、それでも命中させ撃墜する。
「助かったぜ、リュウセイ!」
「無理すんなよ、忍!」
「・・・?お前、何で・・・」
誰にもこの入れ替えは知られてなかったはずだった。それをリュウセイが知っている。焦るしかない。
「ヲタクをなめるな」
その一言に集約されるだろう。
「・・・ノリコも知ってるのか?」
「もちろん。だから、俺ら2人でカバーしてるんだ」
リュウセイがうまく現れたのにはそういう理由があったのだ。
「あーでも、後でブライトさんに怒られると思うぞ」
忍の血の気が引く。思い起こせば、無線はすべて旗艦で聞き取られているはずだった。
この混乱に加担した全員が怒られることとなるだろう。
「メガ粒子砲、打てーーー!!!!!」
怒気に満ちたブライトの声が当たり一帯に響く。
「うわぁーーー」
「相当怒ってるな、後が怖いかも・・・」
「・・・そうですね」
満場一致の意見だった。
「どういうことだ!」
ブリーフィングルームに集められたのは今回の混乱を巻き起こした13名。
実行犯の隼人、十三、忍、ジュドー、雅人、ショウ、トロワ、レイ、フォッカー。犯行の助長をしたためにクリス。被害者のはずの竜馬。知っていたのに報告なしということで、リュウセイとノリコ。
「俺は関係ないんですけど・・・」
竜馬のつぶやきはブライトに届くはずもなく、その場にとどまらされる事となる。
それから約1時間、ブライト・ノアの小言に全員付き合わされることとなる。
「ここは宇宙だぞ!1歩間違えば死につながる!!それを分かっているのか!!!」
それは全員承知していることだった。
「まあ、そこまででいいんじゃないかな?ブライト大佐」
横から口を挟むのは波嵐万丈。
「全員反省しているみたいだし、軽い処罰だけ与えて・・・まあ、竜馬君の処罰は無しだけど」
万丈だけは竜馬をきちんと被害者と認識していたらしい。
肩で息をしていたブライトは呼吸を落ち着ける。
「そ、そうだな・・・実行犯の9名は本日より一ヶ月、艦内清掃の罰!竜馬に関しては完全に被害者なので処罰なし。後の3人は・・・とりあえずここに残ってくれ。解散!!」
クリス、リュウセイ、ノリコの3人を残しそれぞれに散っていく。
竜馬の後姿が印象的だった。そう、まるで無実の罪で捕まっていた人がようやく釈放されたかのように見えたのだった。
「マッケンジー少尉?」
「は、はい!!」
何の処罰を受けるのか、内心びくついていた。
「確認するが、君が持ちかけたんじゃないんだね?」
「ええ。私はどうあがいてもエヴァには乗れませんから」
フム、と唸るように考え込む。
しばらく考え、結論が出たようだ。
「処分なしだ。君が綾波君を誘ったとも考えれんしな」
「す、すみません」
申し訳なさそうに頭を下げる。
「よし、君も行っていいぞ」
「はい!」
どことなく、慌てるようにブリーフィング・ルームから出て行った。
「さて・・・」
残ったのは問題の2人。
知っていながら報告なしということの、理由は目に見えていた。
多分、間違いなく、この2人の事だ、この状況を楽しんでいたのだろう。
「理由を説明してもらおうじゃないか・・・」
「いやだなあ、ブライト大佐。いわなくてもわかってるじゃないですかぁ〜」
あっけらかんと答えるノリコにあきれるしかなかった。
「それに・・・」
意味ありげにその後をリュウセイが続ける。
「同じこと、考えてたんじゃないんですか?ブライト大佐たちも」
悪魔のような笑みを2人は浮かべていた。
内心、ドキリとするしかなかった。
ブライトは隣にいる万丈と顔を見合わせた。万丈も苦い笑顔を浮かべている。ブライト自身も引きつった笑顔になっているのに違いない。
「な、何を・・・!」
「知ってるんですよ〜〜。ブライト大佐と万丈さんが入れ替わろうとしてたってこと」
はっきりいって、その通りだった。
そして、ブライトの中の何かが切れた。
「俺だってな、いつもいつも指揮ばっかりしたくないんだよ!!!!たまには1人で出撃させてくれってんだ!!!!!!」
一気に周りが引いてしまった。
「万丈さん?」
リュウセイが万丈に問いかける。
「なんだい?」
「どうしたらいいんですか、これ?」
この質問に万丈が答えられるはずもない。
ブライトの堪忍袋の尾を切らしては絶対にいけないと、この時この場にいた全員が悟ったのであった。
そして、この後、このような騒動を起こすものもいなくなったと言う・・・
SRWをやっていて「あれっ?」と思ったことはありませんか?
声が似てる、とか、聞き間違えた、とか・・・
そういう場合は、実際同じ声優さんが声を当てている場合もありますっていうか、たぶん間違いなく同じ声優さんです。
つまり、今回も声優ネタという訳です。
そろそろ声優ネタから離れないと・・・
次は何で行きますかね?
考えておこう・・・